交野の山野草      no.48

ミゾソバ 自然

ミゾソバ  天野が原 久保俊雄

田の用水路(溝)脇、水辺や湿地に生え、ソバに似た実をつけることから「ミゾソバ」と呼ばれるタデ科の一年草です。

 秋の「季語」として使用されます。またの名を葉が牛の額に似ているところから「ウシノヒタイ」とも呼ばれています。ごく普通に見かけられている草花です。葉や茎はトゲがいっぱい生えており、秋にソバの花に似たピンクや白の花がかたまって咲きます。花序の形が金平糖に似ていることからコンペトグサの方言もあるそうです。

花が咲き終わるとソバの実に似た黒い実をつけますが、かなり強い苦みがあります。その昔、飢饉のときの救荒食としても利用されたようです。今では山菜として若菜のお浸しや葉の天ぷらとして食されているようです。

地表を這う茎からは枝分かれし、その先端には閉鎖花が形成され、そのまま自家受精して種子を作ります。この種子はしっかりと土の中に埋め込まれます。花を開かずに受粉を行なうので、確実に種子を形成できる反面、遺伝的には親と同じで多様性が減少することになります。しかし、急激な出水でなぎ倒されてしまうような場所に生育する植物の生き残り戦略と考えれば、うまく適応したしくみであると感心させられます。ちなみに実験観察では富栄養な場所では閉鎖花をほとんど作らないが、貧栄養な場所では閉鎖花を作って確実に種子を残しているものが多かったそうです。

ミゾソバ

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