交野の山野草        No.54

モウセンゴケ 自然
モウセンゴケ

モウセンゴケ

天野が原 久保俊雄

モウセンゴケは虫を捕食する食虫植物としてよく知られていると思います。よく日の当たる湿地や粘土質で地下水が常にしたたっている南向きの傾斜地などに自生しています。

 交野では、名の通りに毛氈を敷き詰めたような群生地は見られませんが、限定的に数カ所生育地域が見られます。神宮寺から交野山へ登る道、府民の森、岩船から星田妙見へ越す途中道、星田大池下手に細々と自性(遊歩道の改修後工事等で絶滅しているかもしれません)しています。

 モウセンゴケが虫を捕食するのは、生育環境が栄養分に乏しいことが主な理由です。根から十分な栄養を吸収できない環境に生育していますので、光合成で炭水化物は合成できますが、窒素やリンなどの必要栄養素は土壌から得られないので、虫を捕食してこれらの栄養素を補っていると考えられています。モウセンゴケは葉の表面に赤紫色の繊毛を多数生やし、そこから甘い香りの粘液で虫を誘引し、捕獲します。虫が粘液に付着すると、繊毛と葉身が内側に巻き込み、虫をがんじがらめにして消化液で分解・吸収します。モウセンゴケは無機物と有機物を区別する能力があり、石ころや金属片には反応せず、粘液を分泌しません。

 7~8月にかけて放射状に広がった丸い葉が赤紫色になり、その中心から10㎝ほどの花茎を直立させて白色の小さな花をつけます。この花茎は左がゼンマイのように巻いて、伸ばしながら5~6輪次々に花を咲かせます。モウセンゴケは虫媒花で虫に受粉してもらうため、この花茎には粘液はついていません。

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