ノアザミ 天野が原 久保俊雄
日あたりのよい山野、河川敷、道端に自生するキク科アザミ属の多年草で、晩春から夏にかけて咲くアザミのなかまの一種です。一種と表現したのは、「あざみの歌」など広く世間に知られている花なので、アザミが正式名と思っていたら、植物図鑑の索引に載っていないので、調べてみるとサクラと同じでアザミはアザミ属の総称であること、スコットランドの国花であることが解りました。深く切れ込んだ葉の縁にはトゲがあり、茎は白い毛におおわれ、花色は赤紫色または淡紅色の管状花のみ(キクのような舌状花がない) からなる頭状花をつけます。頭状花を包む総苞からネバネバした液が分泌されるので、総苞にねばりがあるのはこのノアザミだけの特徴です。開花後、結実したものは秋に綿毛つけた種子を飛ばして繁殖します。また、冬はタンポポと同じようにロゼット状で冬眠します。
若い葉・茎・根は食用にも利用されていたようで、根は漢方薬として神経痛に効くとされ、タンポポの根と共にゴボウの代用として食されていたようです。生花用のアザミは、このノアザミを改良した栽培品種です。
名前の由来はアザム(傷つける、驚きあきれるの意)がもとであろうと言われていますが、定かではありません。その他、花が小さく多数つくのにヨシノアザミがあり、夏から秋にかけて咲き、近畿・中国地方に分布自生します。
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