ツリガネソウ
天野が原 久保俊雄
山野の日当たりの良い場所に生えるキキョウ科の多年草で、もともとは秋の草原を代表するような存在であったと聞き及びます。
現在、山で見かけるのはかなり珍しいものになっています。むしろ里の田の畦道やのり面などによく見かけます。
「山でうまいものはオケラにトトキ」と言われるほど春の若菜が旨い山草としても知られています。秋になると5~6枚の葉を50cm程伸ばし、その先に釣り鐘状の淡い青紫色の花を垂れるように沢山つけます。キキョウ科の特徴として、茎を切ると白い汁が出ますが、この汁は切り傷に効果があるとされています。根は太く朝鮮人参のような形をし、漢方薬では「沙参(しゃじん)」といって咳止め・解熱剤とされるそうです。別名の「トトキ」はツリガネニンジンの古い呼び名で、朝鮮語に由来しているそうです。
そよ風が吹くとどこからか軽やかな鐘の音が聞こえてきそう・・ツリガネソウはそんなロマンチックな雰囲気を漂わせる可愛い花です。

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