交野の山野草   no.51

自然
交野の山野草 シュンラン

シュンラン          天野が原 久保俊雄

 日本全土に広く分布し、日本を代表する地生ランです。里山や雑木林の林床に自生し、古くより季節の花や祝い事の花として親しまれてきました。シンピジウムの仲間で、葉は細く、縁には細かいぎざぎざ(鋸歯)があり、地下には数個のバルブ(偽球茎)が連なり、太い根がたくさん伸びています。交野では4月に緑色の花を一茎に一花を咲かせます。花が緑色で目立たないので見逃してしまうかもしれません。花が昆虫により受粉されると花茎が伸びて果実がつきます。かたい果肉の中には粉のようなタネが無数に入っています。 秋が深まり冬にむかう頃に、翌年の花芽が形成され、冬越して春を迎えます。交野山系で一番多く見られる蘭です。遊歩道沿いではほとんどが見かけなくなりましたが、林床内に足を踏み入れると所々で自生しているのを見かけます。・

 花を塩漬けにしたものを「蘭湯」として祝い事の席に使用されたり、塩ゆでして甘酢で食したりするそうです。

 全国に自生し、身近に存在したことから、地方での呼び名も多くジジババ(爺婆)、ホクロは唇弁の紫班から、ゲンコツハサミ(拳骨挟み)、テングバナ(天狗花)、オナツセイジューロー(お夏清十郎)、

ウグイス、ハックリ等の方言名があることが分かりました。このうちジジババの呼び名は全国的にも知られていますが、花の上の部分がおばあさんの頬かむり、下の部分がおじいさんのひげに見えることからだそうです。

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